スタジオジブリの「思い出のマーニー」を見た。

夢と現実が交錯する、複雑なストーリーながら、

言いたいこと伝えたいことがハッキリとしている映画だった。


原作は、イギリスの児童文学。

ジョージ・G・ロビンソンが作者らしい。


こういってはなんだけど、小説の方が空想力をかきたてられて、

いっそう面白いに違いない、という気がした。


とはいえ、

ジブリらしい情景描写は健全で、

自然の美をあらためて堪能することができる。

なかでも、主人公たちがボートで入江に漕ぎ出す夜の情景が格別だった。

月と星の空の下で、静かに進んでいく舟は、

決して遠くへは出ていかず、

満潮の入江をいったりきたりするのみだ。


その水辺を見ていて思い出したのは、

ニュージーランドのクイーンズタウン。

ワカティブ湖という、S字形の湖のある観光地で、

湖畔にはいくつものホテルが建っている。

そのうちの一つに泊まったとき、

波の音について小さな発見をした。


映画の最初でも説明台詞があったように、

海の潮の満ち引きは、月が作用しているものだ。

規則正しく聞こえる波の音も、然り。

だが、

「湖」の波の音を司っているのは、どうやら月ではないらしい。


というのも、

湖畔で聞いた波音は、

海のそれとはリズムが全く違うことに気付いたからだ。


寄せては返す、というものではなくて、

ただ、風の吹く様に合わせて、変則的に響いている。


ザザーン、ザザーン・・・ではなく、


ザザ、ざざざ、、ざーん、ザザザザザ・・・・・・


と、

変拍子の音楽のようだった。


映画に出てくるヒロインの美少女・マーニーの登場のように、

それは、ヘルメス神がつかさどる自然によって、

幾重にも意味を重ねていく。


そう思い出していたら、

かの街の波音が、少し恋しくなった。